海外生活をしていると、思わぬことで心が励まされることがあります。特にまだそこでの生活に慣れていない場合はなおさらです。 私が80年にNYに到着してまもなく、まだタクシーにこわごわと乗っていたころ、陽気な黒人の運転手が私に「エイオキ、エイオキ」と話しかけてくるのです。まだ十分にNYの英語に慣れていなかった私には咄嗟に判断がつかず答に窮したのですが、よく聞いてみると 全米オープンでニクラウスと死闘を演じた青木を称えていたのでした。私も日本人の快挙に思わず心が弾み、彼とマンハッタンからクイーンズまでの束の間その話題に興じたものでした。 その後ハワイで顧問弁護士からassociateの弁護士を紹介されたことがありました。彼は珍しくスウェーデン人でした。彼に精一杯働いてもらう必要のある私は、NYのタクシーの中での出来事を思い出し、95年に全米女子オープンを制し、同年にスウェーデンのスポーツ界で最も栄誉ある「the Athlete of the Year」を得たAnnika Sorenstamのことを話しました。 彼は破顔一笑し一挙に私との距離が縮まり、以後会社のために十分に働いてくれたことは言うまでもありません。